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生きものを探す行為って、どういう感じだろう。
同じ場所にいても、全員が同じものを見ているとは限らない。
視界には入っているのに、気付かないことって、あるよね。
見えているのに、見えてない。
生きものでも植物でも、意識しないと意外と見つからないもの。

そのかわり意識してまわりを眺めると、それまでとは全く違うものが見えてきたり、あらためて気付くことが多いと思うんだ。

子どもの頃って、そんな細やかな目でいろいろな風景を見ていたような気がする。
別に「自然観察しよう!」と気負っていなくて、あくまでも自然体で好奇心赴くままにね。

新幹線などに乗ると、車窓越しに畑や空地に建つ看板を見かけることがあるよね。
あの大きな、派手な看板。
でもいったいどれくらいの人が新幹線を降りた時点で、道中見かけた看板の中身を覚えているんだろう。
流れる風景のなかで、一瞬目にした看板を「あっ、広告看板だ」と思うことはあるかもしれないけれど、思考に残ることはほとんどないのではないか。
見えたのに、見えてない。

なので今回の写真展は、観る者が行動を起こさないと見ることが出来ない仕掛けを施しました。
名付けて『箱メガネ型展示』。
箱メガネを使うと、川を上から眺めただけでは見えない世界も手に取るように見えるよね。
ときにはそれが映画のスクリーンのように見えるときもある。
だいぶ誇張した表現だけど、それぐらい箱メガネ越しに現れる光景って刺激的なんだ。
目の前のものをちゃんと見てもらいたい。
作品を見てもらう側として、そんな想いを込めました。

以上、作者の思い上がりと屁理屈でした。なんてね。


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