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朝。川岸に停めたクルマのなかで目覚めた。
空は雲ひとつない快晴。
が、どんよりと濁った川辺川を前にし、気持ちが晴々とすることはなかった。
「ひどい」とは聞いていたけれど、これほどとは。
透明度の高さがこの川の魅力でもあったのに、なんという変わりようだろうか。
大量の土砂が川岸や川底に堆積し、以前見られた光景とは一変。

川沿いにクルマを走らせていると、ひとりの男性と出会った。
餌をつけた釣竿を淵にセットしていた彼は今年74歳。
「これから網を引き上げる」というので、一緒に舟へ乗せてもらい、その様子を撮影。
産卵を終えた雌の鮎が2匹とやせ細った雄の鮎が1匹、網にかかっていた。
いろいろな川の話をし、今夏は特に濁りがひどかったという川辺川のことを教えてもらう。
「今日はこれでも最近では一番水が綺麗」と話す彼は、どこか悲しそうだ。
ぼくも悲しいよ。

以下は「流域市民団体 砂防ダム撤去を国交省に要請」というタイトルで、先月22日の熊本日日新聞朝刊に掲載された記事。
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川辺川の濁りの長期化をめぐり、国土交通省川辺川ダム砂防事務所(球磨郡相良村)と実施した共同調査を受け、流域の市民団体は二十一日、「原因は砂防ダム」として、あらためて上流の二つの砂防ダム撤去を求める国交相あての要請書を同事務所に提出した。
川辺川は九月上旬の台風14号以降、濁りが長期化。調査はその原因を探るため同事務所と市民団体が今月六日、八代市泉町の上流域で実施。原因は流域の山腹崩壊のためと主張する同事務所は「砂防ダムが原因でないことを確認した」とする調査結果をまとめた。
これに対し「下球磨・芦北川漁師組合」(小鶴隆一郎組合長)など四団体は「山腹崩壊は過去にもあったが、濁りの長期化は砂防ダムができてから」と反論。朴木(ほおのき)、樅木の両砂防ダムの撤去を求めた。
また、同台風による球磨川の増水で芦北郡芦北町漆口地区の実家が浸水被害に遭った緒方雅子さん(57)=八代市=が、ダムではなく宅地のかさ上げによる同地区一帯の治水対策を求める要請書を出した。
応対した里宏総務課長は「要請書は本省と九州地方整備局に伝える」と答えた。


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