top.gif

051026.jpg

現在、国が管理する一級河川と呼ばれるそれぞれの水系ごとに、今後の河川の未来を決めかねない新しい河川整備基本方針(方針)が国交省によって策定され、審議承認する作業が続けられている。
具体的な河川運用や治水対策は、方針実施後に策定される河川整備計画によって行われるが、この方針は河川のあり方の骨格をなすもので、方針に基づいて河川の運用、治水対策が決まっていくため、大きな影響力を持つものとして考えられている。

今日、国交省の11階会議室で社会資本整備審議会河川分科会の会合が開かれ、そこで四国・吉野川をはじめとする5つの水系(庄内川、沙流川、紀の川、常願寺川)の方針が審議されると聞き、心配になって傍聴してきた。
吉野川の方針を策定するにあたって前回開催された検討小委員会において、すでに問題が決着している第十堰問題が亡霊のように復活したことが気になって仕方なかったのだ。
検討小委員会を傍聴した方いわく、「第十堰は治水上支障となるもので、いまのまま放置できない」と結論づけていたというのだから、暗澹たる気分で会場に向かった。

検討小委員会で話し合われた第十堰の扱いがどう方針に盛り込まれるのか、盛り込まれないのか。
それがぼくの関心のすべてだった。
時代を逆戻りするのか、しないのか。

5つの水系の方針が審議されるとあって、会合には10名もの県知事が出席。
が、飯泉嘉門・徳島県知事を除き、ほかの県は土木部次長や建設部課長などによる代理人出席だった。
飯泉県知事にとって、吉野川のことで注目を集めたこの日の会合は、良い政治アピールの場なのだろう。
河川局長が挨拶文を読み上げ、元河川局長の近藤徹小委員会長がレジメをそのまま読みながらこれまでの経緯を説明。
この間、約30分と少し。
説明後、唯一といってもいい「自分から意見を述べた」徳島県知事が、どうとでもとれるいかにも官僚的発言で、吉野川の現状を説明。
その後、出席した委員会からは何ひとつ意見らしい意見はなく、実質的な審議ゼロのまま、始まって1時間も経たないうちに各方針が承認された。
まったくひどいものだ。

吉野川水系河川整備基本方針には、「治水上支障となる既設固定堰については、必要な対策を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる」という表現が記載された。
この「治水上支障となる既設固定堰」については、一般論として書き加えられたものと信じたい。
が、今後の焦点はこの一文になるんだろうな。

2007年までに全国にある一級河川109水系すべてに、河川整備基本方針を策定実施するという。
地元からはるかに遠い世界で、シャンシャンと大切な事柄が決まっていく現実にため息がでる。


<< October 26,2005  >>